途中経過3

早いもので、3週間が経過しました。

強烈な寒さも少ーし落ち着いた感じです。
とはいえまだまだ朝晩は結構な冷え込みで
強烈に雪が降ったかと思えば
さっと晴れてきたり
もうしばらくは冬の厳しさも続きそうですね。

早いもので
留添から3週間が過ぎました。
醪の経過も順調で
これからは最終段階になって行きます。

蔵の中の気温は1度ちょっとでしょうか。
外の寒さとはまた違った
キリッと身がと引き締まるような
空気感があります。
タンクをのぞくと
醪の表面は少し固めの膜が張ったような状態で
(また似たような写真ですが
なんとなく表面の顔つきが違うの分かります?)
初期のようにぶくぶくと醗酵している感じは
無いように見えますが
櫂を入れてちょっと攪拌すると
ジュワ~とガスが上がってきて
一緒に醪の良い香りが立ち昇ってきます。
中身も最初の重たい手応えから
米が溶けてきたせいもあり
かなり柔らかい感じになっています。

3週間経過で
醪の品温は約6度
アルコール度は17度台に
日本酒度は+1
ということで
だいぶいい感じに進んできています。
醪日数を30日位に設定していますので
あと1週間から10日で上槽(お酒を搾る作業)
になるかと思います。
細かい作業で言うと
留添のあとで
「追い水」と言って
醗酵の進み具合にあわせて
水を増やす作業が数回ありますが
この時期もう一度追い水をかけて
末期の調整をしていくのですが
そのタイミングも
杜氏さんの経験と勘と
正確な醪の分析によって行われます。
この分だと
ほぼ順調に上槽にこぎつけそうな感じですね。

仕込みの難しさと言うのは
作業行程も製品管理で神経を使うところも
最初から最後まで一貫してついて回りますが

同じ精米歩合で
同じ水分割合で
同じ作業手順で
毎年繰り返し仕込んでも
その年の気候
酵母の状態
醪の醗酵具合 等々
100%同じに進むことはなかなかありません。
醗酵が早い・遅い
アルコールの出方が早い・遅い
等々
生きた醪が相手なので
顔色を伺いながら手を掛けてやらなければ
狙い通りには仕上がらないのです。
「こういう酒に仕上げる」
という  再現性  とでも言いますか
狙いどころ
落としどころ
に  味をいかにしてまとめ上げるか
そこが難しいところであり
杜氏さんの腕の見せ所なんですね。

手前味噌になりますが
美寿々酒造さんは
作業も丁寧ですし
スタンダード物から吟醸まで
「狙いどころ」に
ズバッと仕上げてくるところに
凄みすら感じます。

地酒ですから
個性や特徴を大事にしつつ
「今年はいい出来だねエ」
とか
「今年は香りがまた違うねエ」
などなど
お客さんの反応が毎年楽しみでもあり
それがまた地酒の楽しみ方のひとつでもありますが
あんまり味幅が変わっちゃうと
「あら?」
なんて事になっても困るわけですね。
ですから
作り手はそのお酒「らしさ」を守りつつ
特徴を上手く引き出して
狙い通りの酒造りをし
飲み手はそのお酒らしさを感じつつ
その年の出来具合を
その人なりに味わってもらう
というのが
一つの楽しみ方かな  とも思います。

皆さんもお気に入りの地酒があれば
そんな事もチラッと思いつつ飲んでみると
楽しみもまた増えるかもしれませんね。

さあ
出来上がりまでもう一息です。