仕込みの季節

12月もいよいよ後半戦。
クリスマスが過ぎれば
あっという間に大晦日。
なにかと忙しくなります。

酒蔵では仕込みの真っ盛り。
美寿々酒造さんも
毎日仕込み作業で忙しい日々です。

というわけで
緑香村の仕込みが先週行なわれました。

例年だと
12月後半に酛(酒母)をたてて
1月に入って仕込だったんですが
今季はちょっと早めの作業です。

この冬は
暖冬の予想が出ていましたが
寒気の影響もあって
冷え込む日が続いていますので
タンクの温度管理には
この寒さはちょうど良いかもしれません。

今年収穫した美山錦は
玄米で2,100kgでした。
緑香村の仕込みは55%精白で行うので
1,155kgが仕込み総量となります。

これを数回に分けて
麴米・掛米と水を徐々に増やしながら
交互に加えていくのが一般的な仕込みの方法です。

まず12月6日の酛立て
いきなり大きいタンクにドバッと仕込むのではなく
まず小さいタンクに
仕込みのベースになるものをつくって
元気の良い酵母にするわけです。

おおよそ一週間で酛が出来上がるので
それからが本仕込みとなります。

仕込みは3回に分けて行います。
通称「添」・「仲」・「留」と呼ばれ
徐々に米と水を増量します。

つまらないかもしれませんが
せっかくなので
割合をちょっと入れておきましょう。

※蔵で働くベテランの清水さんが
きれいに記録してくれているので使わせてもらいますね。

12月 6日  酛(酒母):酛麴30kg   酛掛米70kg

12月16日  添(1回目):添麴70kg  添掛米115kg   添水160ℓ

12月18日  仲(2回目):仲麴80kg  仲掛米270kg    仲水420ℓ

12月19日  留(3回目):留麴80kg  留掛米440kg    留水790ℓ

こんな具合に仕込んで行くのですが
徐々に増やしていくのは
酵母菌の醗酵が均一にムラ無くなるためでもあります。


麴米というのは
蒸したお米に麹菌をふりかけて
米の芯まで菌を繁殖させるんですが
これに4日かかるんですね。

例えば
添(1回目)の場合だと

12月12日:添麴米の洗い

12月13日:添麴米を蒸して→麴室に移動→麹菌をふりかけ・もんでもんで→保温

12月14日:引き続き保温→均等に繁殖するように手入れ数回

12月15日:菌の食いつき具合を見計らって
麴室から出して冷ます

12月16日:添麴米+添掛米(前日洗米し、当日朝蒸す)+水→攪拌

なので
麴米と掛米の洗いや
麴室での作業が複合的に行われ
その合間に道具の洗浄や掃除があるので
次から次へと結構忙しいのです。

蒸した米を加えるときも
タンク内の温度が上がり過ぎないように
米を適度に冷ましながら
加えていかないといけないので
温度計で確認しながら
微調整しつつ攪拌していきます。

これは
米を運ぶ人
攪拌(櫂を入れる)人
温度を測る人
チームワークってやつですね。

一連の作業を
コンピューター管理で行うトコもありますが
やっぱり地方の酒蔵というのは
こういう作業風景が似合います。

というわけで
緑香村の仕込み作業も
無事終了しました。

あとは
出来上がるのを待ちたいと思います。

留仕込みからおおよそ30日くらいが
出来上がりの目安となります。
もっと早い日数でもお酒は出来るんですが
あまり短期間で
温度を上げて醗酵が進んでしまうと
雑味の多い荒っぽいお酒になってしまうのです。

低温で徐々に醗酵させることで
雑味の無い
味わい深くて透明感のあるお酒に仕上がるんですね。

大吟醸とか純米大吟醸などは
精米歩合が高いのはもちろん
もうちょっと日数かけて
より繊細な味わいに仕上げるので
とても手間がかかっているんです。

1月20日頃が仕上がりの目安でしょうか。

今季の緑香村も
きっと良いお酒になってくれるだろうなあ
と    期待しつつ。

皆さん良いクリスマスを。
チキンと冷酒もよく合います(笑)。

またお願いします。